漫画家の落書き

漫画家の落書きが好き。たとえば本編の作画よりも、トビラの対向ページにあるなんでもない殴り描きイラストのタッチに不思議に心を奪われたりする。漫画家の落描きは贅沢なもの。あの余力を残した感じがなんともいい。個性やセンスが、むしろ強く出る気がする。昔、美術出版社の雑誌「コミッカーズ」で、漫画家たち(多田由美さんがいたことはたしか)が記憶力を頼りに有名キャラクターのイラストを描くという企画があって、それも舐めるように見た記憶がある。当たり前だけど、みんなうめえええええええええ。記憶だけを頼りに描いたメーテルとか、超うめええええええええええええ。上手いということすら失礼かもしれないが、うめえ。そうとしか言いようがない。
話は変わるけど、最近は手書きブログを閲覧するのが楽しくて、よく見てる。この日本という国における絵の描ける人間のおおさは異常。絵が描けるっていいな…。せいぜい私にできることは模写くらい。模写、だいじ。10年くらい前に読んだ夏目房之介さんの漫画研究本に、夏目さんによる版権イラストがいくつも掲載してあって、ちいさく「※著者による模写」って、注記が入ってたのね。これをはじめてみたときは、私はシビれた。「そっか、夏目さんも模写するんだ!」って目からウロコが落ちた。それ以来、夏目さんといえば「著者による模写」の人。「厩戸はムズカシイ!」とか、超親近感を覚える。たしかに皇子の模写は至難っ…!
最近はもっぱら福本模写です。一回模写をしたら、だれも福本先生の絵がいまひとつだなんて言えなくなると思うの。原作絵が、本当にいい…。特に銀金は神作画やね。「頭文字D」の14巻の表紙の拓海の神がかったイケメンぶりにも匹敵する(福本先生としげの先生にも微妙に交流はあるらしい。ヤンマガつながり?いーなー)。福本絵はいいなー。しげの絵といい福本絵といい、「これ、絵がダメ」って人から言われるもののほうが萌えやすい。逆に私はゴッド・オヴァタの絵とか萌えにくい。きれいだなーと思う…思うが、ダメっ…!全然萌えらんない…。なんか目に魂が宿ってない感じがするのん。