勇午

勇午が面白いです‥‥。どうしよう、勇午‥‥。ステキ過ぎ‥‥。
この作品は展開に「ちょっと風呂敷広げすぎだろう」的なところがあるので、当然ストーリーもご都合主義的な感は否めないのですが、それでもこの作者には描きたいこと、伝えたいことがあるんだろうな、っていうのが画面からバシバシ伝わってくるので結局の所感動するし、納得させられてしまいます。例えば「勇午は何故あんなに手酷い拷問にあってもケロリとしていられるのか」なんて突っ込みたくもなりますが、作者としては敢えて弱い部分を描かずにいるのでしょう。この作品を読んでて何となく『BANANA FISH』を思い出したのですが、あれだとアッシュは英二の前ではただの男の子になってましたものね。そういうエピソードが一切無いのもこのマンガの良い所かも。これが少女漫画だったら絶対勇午は小暮あたりに弱音を吐いてる筈なんですよ。北村さんでもオッケーですが(笑)。
そういえば、勇午の感想を検索して読んでいたら「勇午はドMで自分の趣味で拷問にあうためにネゴシエーターになったのでは」なんて大胆予想している人もいてかなりウケました。本当にそうだったら勇午、ステキ過ぎです。1(イチ)みたいな人と出会えるといいね。
というのは冗談なんですが、「とにかく勇午はスーパーヒーロー。完全無欠のプロの交渉人。でもヒューマニズムを大事にするし、自分の意思でしか仕事をしないある意味自分本位なヤツなんだよ」っていうのが、この作者的ヒーロー像なのでしょう。ここで勇午が弱い所を出してしまうと、この「交渉に対する冷徹なまでのプロ意識」←→「赤面もののヒューマニズム」の対比が不明瞭になってしまうのでしょう。あーそっかそっか‥‥。だめですね。それじゃ勇午じゃないなぁ。

私が唯一不満なのがですね、交渉と交渉のつなぎの部分が全く無い、ということなんですね。本当にどの交渉からでも読める仕組みになっているでしょう。それも意図的なものなのかも知れないけど、何ていうんでしょう、それだと人物が見えてこないんですよ。それならもっと勇午の過去を徹底的に描いた番外編を書く、とかですねぇ、「勇午のキャラが完成されるまで」を描いた作品が欲しいところなんですよね。あ、でもそのために「どの巻からでも読める」ようになってるのか。敢えて勇午に過程は無いものと、過去は持たせない、そういう事なのか? 私は勇午の過去が気になってます。堂本 剛が次にどんな髪型をするのか位気になってます。
あと下北半島編の小暮に、もうちょっと頑張って欲しかった! 得意のメカ関係で、本領発揮させてあげようよ!! 結局勇午がおいしいとこ全部持ってってるジャン!!(やっぱり私は小暮が好きみたい‥‥)まぁ勇午はスーパーヒーローだからね‥しょうがないんだけど。でもダブルのスーツとか着ちゃうところがたまんないです。パジャマ着て寝ちゃうしっ!!! あと女と子供には優しいのに、男に対して結構冷たい所も気に入ってます(笑)。ロシア編では、あのKGB将校の制服と女の手配をしてくれた人をあっさり見捨ててしまうし。あれはすごいですよね。あと「自白の危険性を考えて答えが出る前に敢えて思考をやめた」というエピソードにはシビれました。かっこいい!!!
という訳で結局勇午にモエモエなわたくしなのでした(おしまい)。