『ホームドラマ!』最終回

ついに堂本剛さん主演、『ホームドラマ!』が最終回を迎えた。
登場人物それぞれが海外旅行のツアーに参加し、その中でバス事故に遭いかけがえの無い存在を失う所から始まる、再生の物語である。とても一人では抱えきれない、大きな悲しみを共有した彼らが同居生活を始め、形成する『擬似家族』。その『擬似家族』という形態の不自然さ、在り得なさを視聴者にいかに忘れさせるかが課題だった。そして、あくまでも「平和」に、前向きに生きようとする彼らの姿に最終的に「憧れ」すら抱かせる事が出来たのなら、このドラマは成功だったといえるのでは無いだろうか。数字のことはどうであれ。
ホームドラマ、家族ものは得意ジャンルと言いながら、「家族という存在は自分にとって、うっとうしい、わずらわしい存在だ」と公式HPで言い切る脚本家・岡田惠和。岡田さんのそうした考えは、ドラマ中でも登場人物の中で唯一のリアリストであったユースケ・サンタマリア扮する秋庭智彦の、主人公に冷静につっかかってゆく台詞によって、随所に伺い知ることが出来た。
「お金のことはどうしてるんだ」とか、視聴者誰もが感じる疑問を軽く口にしたり、序盤では、「他人同士が傷舐めあって一緒に暮らすなんて、気持悪いよ」と言い切る彼の冷静さに、ドラマ全体の「痛々しさ」が緩和され、微妙なバランスを保つことが出来ていた様に思う。
困ってる奴、クヨクヨしてるやつぁーほっとけない、根っからの主人公・井坂将吾のキャラとのバランスも良かった。初めは「ウザイウザイ」言いながらも、最終話では「これからの時代のトレンドはウザイ男。俺もウザイ男を目指す」とか言ってしまう智彦が憎めない。
うう、私、智彦ちゃんが好き。
ってそんなことはどーでも良くて、ドラマの話。
最終話、この生活を始めることを皆に呼びかけ、集めたのは俺だから、という下らない責任感によって、一度は小学校をリフォームする話を断ってしまう将吾。そんな将吾に「もっとみんなを信じろ!お前がいなくなっても俺たちは変わらない。お前が帰ってくる場所はあるよ!」と怒り、諭す智彦。結局将吾はその場で電話をかけさせられ、リフォームの仕事を受ける事に。暖かい笑顔で将吾を励ます『擬似』家族たち。いい場面です。
その後、自室に戻った二人がビールで乾杯し合い、この新しい『家族』の存在に感謝をしあうシーンは凄く良かった。
結局、企画の段階から「堂本剛くんとユースケ・サンタマリアさんの二人で何かやりたいね」っていうドラマだった訳だから、この二人のシーンが素晴らしいのは当たり前なんですよ。その点、ナイスキャスティング賞はあげたい(他の出演者の方々も皆上手ですっごく良かった!特にいしださん、田村さん、井上真央ちゃん。酒井若菜ちゃんもとっても良かった。子役も巧かったなあ。)んだけど、如何せん、登場人物が多すぎる!もう二人位減らした方が、登場人物それぞれがクリアしてゆく出来事の一つ一つ、心理的葛藤なんかを丁寧に描写出来たんじゃないかと思う。若い出演者にスポットを当てると、どうしても重い展開にし切れない所があり、結局中途半端な印象を残してしまった。色々と惜しい。
田村さん、酒井若菜ちゃんのエピソードも矛盾した点が強く印象に残った。
二話で将吾が「世界中の人が非難する様なことでも、許すとは違うけど、決して見捨てない、そんな存在が『家族』なんじゃないか」と言っていたけれど、今までさんざっぱら自分に冷たくしていた息子に清一郎さんは「あなたは誰ですか」と存在を否定してしまったし、仁美の両親は不倫が原因で勘当同然だった。おいおい、何があっても見捨てないのが家族じゃなかったんかいと観る者誰もが突っ込まずにはいられないエピソードだった。
この場合、どちらか一つはもとの家族とも和解するパターンしても良かったのでは無いか。彼らにとって最後に帰りたいホームがあの場所であれば、何の問題も無いのだから。

他にも色々文句を言ってればキリは無いけど、TBSらしさの溢れたとても綺麗な映像と、全体に流れる暖かで緩やかな空気に、毎週楽しみと両手に抱えきれないほどの萌えをもらってました。終わり方も、あれは私はいい終わりだと思う。最後に帰ってくることの出来る場所、それが「ホーム」であり、それが「ドラマ」になってるんだから「ホームドラマ!」のラストとして、あれはあれでいいと思う。だって絶対剛さんの最後の台詞はあれだって、初回から私は思ってたもの。あれはいいラストだよ。