2009/07/08 19:00 西原理恵子の人生画力対決(後半その2)ゲスト:福本 伸行先生

西川先生の結婚相手が「福本さん」だと聞いてうらやましさにちぎれそうになった、人として何かが間違っている本田です。続きをアップしにやってきました。
はてなスターにはげまされました。まゆさん、ヤヨさん、ありがとうございます><)

(さらに続きです)
●編集さんの素朴なギモンその1「あの謎の影は、アレだったのか…!」
続いて、現在の福本先生の絵、ということで『カイジ』のコミックスの表紙がドギャァ〜ンとプロジェクタに映し出されます。ド迫力!ここからの西原先生の突っ込みが面白すぎました。そして、何だか愛を感じた…!

西「(カイジの横顔を見ながら)ホラ!もう後頭部ないじゃん!脳ミソ入らないよ!」
髪型、後頭部にこだわる西原先生wいや、確かに後頭部はないし、脳みそも入らないけど、それが味なんだと思うっ…!

西「ていうかあれ、何?」←ひどいwww
福「耳、耳だろうがっ…!」
耳!耳だよ、西原先生!!!!!どう見ても耳っ…!

八「僕、いつか福本さんに聞きたいと思っていたことがあるんですけど…。ココの影は、横顔のこの部分の影、なんですよね?」
福「そうそう」
八「やっぱり!」←長年のギモンが解けた開放感に満たされる編集さんw
会場「(な〜る、と納得した様子のリアクション)」
これは私も気づきませんでした。そっか…。正面顔の影は、横顔と呼応していたのかっ…!


●編集さんの素朴なギモンその2「あのページ、原稿料もらえるんですか?」
八「あとこれも福本さんに聞きたかったんですけど。福本さんの漫画って、よく、スミベタに白抜き文字だけをデカデカのせてるページがあるじゃないですか」
『黒沢』「人望がほしいっ‥!」、『カイジ』「ああ、それにしても金がほしいっ‥!」などですね。ただ、『無頼伝 涯』の「孤立せよっ‥!」はフォントでなく手書きだったような‥。

福「ハイハイハイハイ」
八「あれって、どうしてるんですか?」
福「どうって、黒く塗って、あとは編集に写植打ってもらうんですよ(笑)」
八「原稿料もらえるんですか?」
福「もらえるに決まってるじゃないですか(笑)!」
もらえるに決まってますよね(笑)!!!!編集さんの素朴な疑問のぶつけっぷりが楽しかったです。
八「いつかそれだけで(字だけで)16ページとかやってほしいですね」←居酒屋ノリトークすぎる


あ、あと、福本先生と西原先生が、自分たちの共通点について、
西「漫画を描くことに対するモチベーションは、二人とも高い」「飲んだりしてても、そのあたりは(2人の)共通点なのかなと思う」
と仰っていて、大変大変嬉しかったです!!!!!!まだまだまだまだ先生の漫画が読みたいです。


●映画『カイジ』のスポット 福「意外と人間は、学ばないっ……!」
西「カイジって馬鹿だよね」「ずっと同じ失敗を繰り返してる」
福「あのね、意外と人間は、学ばないっ……!」

本日の名言:意外と、人間は学ばない。

同じ失敗を繰り返しちゃうものなんだ、と語る福本先生。この「意外と」っていうのがいかにも福本節。

ハァ、まだまだ画力対決は始まりませんw 
ここで映画版『カイジ』のスポットを流します。DVDのチャプターメニューが2つあり、1つは「映画特報用(○○秒)」、もう1つは「なんたらかんたら(カンヌ用)」と…!

カ、カンヌ!?

全力でカンヌにざわ‥ざわ‥する会場w
八「この間映画館でスポット見たら、画面に「ざわ‥ざわ‥」って出てくるだけでしたよ」
西「ていうかカンヌってなに」
そこは食いつく西原先生。ところが、肝心の福本先生がカンヌのカの字も理解していない。雑誌の作者コメントを読むと、結構、映画はたくさん見ているみたいだけど、残念ながらカンヌにはまったく興味がない模様。



●映画版『カイジ』予告について 利根川先生がすべて持っていった
とりあえず香川照之演じる利根川先生の演技が素晴らしくて、西原先生も「素晴らしい演技」とコメントされてました。名台詞、「ブチ殺すぞ、ゴミめらっ‥‥!」が出たときは会場もオオオオオと盛り上がってました。「Fuck you」はなかったような気がする。アニメの白竜の5000万倍素晴らしいお芝居です。あとは松尾スズキ班長www笑顔の生あたたかさがよかった。兵藤会長も、原作の雰囲気出てて素敵でしたねぇ。佐原@松ケンは、予告には出ず。藤原竜也は、カイジ役ながら、残念なことに、ものすごく華がありました。ホストでもしたほうがよっぽど稼げそうです。エスポワール乗る必要ないじゃんw!どうでもいいが、映画のカイジはどうして原作よりも借金の額が少ないの?

八「これ、限定ジャンケンにしろ鉄骨渡りにしろ、舞台装置作るのお金かからなそうですね」「ホテルのホール借り切っちゃえばできますもんね」
福「だからかもしれないけど(笑)、今まで映像化の話はすごくたくさんあった。Vシネマとか」
銀と金』もVシネマになっていますね。チラっと見たら銀さんが大変なことになっていましたw
福「そのたびに、上手くいかなくて話が消えてたんだけど、今回ようやく(映画化になった)」
印象として、福本先生は映像化にはかなり前向きな感じでした。
福「今回、単に『黙示録編』とか『堕天録編』とか、まとまった形で映画化しているわけではない」「原作に配慮しつつ、映画独自の編集をしています」
あまり映画のねたばらしをするわけにもいかないらしく、慎重に言葉を選びながら語る福本先生。そっか、だから班長がいるんですね。そして佐原が地下で働いている‥とな‥!?かなりイミフなんですが、映画、観に行かざるを得ない。


カイジの描き順がカオスすぎ 「ざわ」の書き順すらおかしい
福本先生に、カイジを描いてもらおう!のコーナーっ‥!手元をプロジェクターに大写しにするため、ライトボックス(?)の装置がある席へ移動なさる福本先生。

福「これ紙まわしていいの?」
西「いいよ」
福「よかったっ‥!」←たぶんすごくホッとしてる福本先生

一番楽しみにしていたコーナーでした。どういう順序で先生がキャラを描かれるのか、大変大変大変大変興味深いです。コミックナタリーでも話題になった、福本先生のカイジの描き順です。これがカオス杉。狂気の沙汰。‥しかし、「狂気の沙汰ほど面白い」とはアカギ(13さい)もよく言ったもんです。狂気の沙汰ほどざわめきメモリアルだろうがっ‥!

★福本先生、狂気の描き順(※部分的に記憶あやふや)
右眉→左眉→鼻すじ→右目の上まぶた→右目の二重のライン→右目の下まぶた→右目の黒目→(左目も同様に繰り返す)→鼻の穴→頬の傷→輪郭→前髪→口→輪郭の続き→首→耳?→右目の下の影→後ろ髪→襟→「圧倒的閃き」→fin.
※西原先生お気に入りの、鼻すじのステッチはいつ入れてましたっけ?※

この描き順で紙をグルングルンまわしながら描きあげていく様が、なんかすごい。狂気の沙汰。一番に眉毛をグリグリ、黒々と描いていくのですが、これが一瞬、何を描いているのかわからないwww。みんな「カイジを描く」ということがわかっているのに、「どこを描き始めた」とかでなく、「何を描き始めているのか」がわからないんですよ。これはすごいことです。福本先生ってすごい。あらためておもった。福本先生って、すごい。何度でもいいます。福本先生はすごいです。上手いとか下手とかの次元を超えて、純粋に「すごい」のです。


★書き文字「ざわ‥」の書き順もおかしい
1:「さ」=「さ」→「゛」 ざ ここは普通です。
2:「わ」=なぜか、二画目の曲線から描く。その後、縦棒。おかしいだろっ‥!

サインを描くとき、やっぱり、ざわ‥と描くと喜ばれるということで、律儀にカイジに「ざわ」を描きいれてくださる福本先生。ようやっとカイジ完成。やはり「ざわ‥」と書き入れる瞬間が一番、「オオオオオオオ」と盛り上がってましたw


カイジ作画中のハプニング 福「口描いてるときは声掛けないで!」
途中、ライトボックス(?これが本当にライトボックスという名称なのかは甚だ疑問だが、とにかく光る箱だった)の電気のスイッチを、ウッカリ消してしまった福本先生っ‥!これでは来場者に福本先生の手元が見えないっ‥!

福「ごめんね!」←結構大きい声で
ていうか誰に?誰に「ごめんね」なの、先生‥!とにかくこの「ごめんね」に福本先生のお人柄が凝縮されきってた気がします。先生好きいいいいいいいいいいいい><


福「口描いてるとき、声掛けないで!」
妥協を許さない男、福本 伸行。人物を描く上でもっとも注意を払う口元を描いているときに、編集さんか西原先生のどちらかが声をかけてしまい、思わず出た名言。


福「カイジ、太っちゃったね」
描き上がったカイジを見ての一言。なんというほの‥ぼの‥発言。確かにカイジの輪郭が明らかにゆるい!シャープさを欠いているっ‥!だがそこがいい。



福本先生、衆人環視の中でのカイジ描き、本当にお疲れ様でした。ここからいよいよ画力対決に入っていきます。カイジを描く福本先生の圧倒的不器用さに、徐々に不安が高まる私。



長かった序章が終わり、いま、伝説の夜の一幕目、その緞帳が開かんとしています。福本先生のポロシャツに刺繍された馬の圧倒的デカさにときめきながら、次回更新へ続く!