「熱いぜ天馬」

熱いぜ天馬 (近代麻雀コミックス)

熱いぜ天馬 (近代麻雀コミックス)

確かに、すごく…熱いです。
先生が“逸脱”する前の、なんとも言えない燻ってる感じが味わい深い作品です。なんかこう、熱いものが燻ってる…!でもそれって、きっと「現在」を知ってるからそんな風に思うんだよね…。たぶんそう。持てる者と持たざる者の笑っちゃうくらい容赦ない対比の描写は変わらなくて笑った。あんな金持ち専用道路の整備の仕方なんて、あるかよ…!と思うのだけど、福本先生の描くお金持ちって基本的にあんまりリアリティないですよね。天馬が「同じ人間だろうがっ…!」と言って泣いちゃうシーンは、ザッツ・福本節って感じ。あそこはとてもいい。あと興味深かったのがこのころまだざわ‥ざわ‥がカタカナなんですよね。「ザワ‥ザワ‥」してるんだけど、「ザク‥ザク‥」に見える。たぶん、「ザクに見えるからやめよう」と思ってあの「ざわ」スタイルが定着したのではないでしょうか。擬音といえば、さんざんネタにされていますが拳銃ぶっぱなすときの「パァン」は「パァニ」、銀さんが有賀にケリを入れるときの「ガツン」は「ガツニ」に見える。だがそこがいい。

全体的にノリはまるきり少年漫画のそれで、ご都合主義だし、「そのイカサマありなの?」と思うことも多々あったんですが、教養として読んでおくべき一冊だと思いました。何より、普通に学校へ行って家族と暮らしている福本漫画の主人公というのが新鮮すぎた。「熱いぜ辺ちゃん」といい、先生「熱いぜ」って言葉好きだな…。


ところで、ガンパイとかすりかえとか、福本麻雀漫画を読んでいると麻雀イカサマ技ばかりに詳しくなります。ほかの麻雀漫画も読んでみたい。