RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠 (角川文庫)

RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠 (角川文庫)

知り合いの方のブログで紹介されていたのを書店で思い出し、手にとってみた一冊。
お名前からして男性なのかと思っていたんですが、女性作家さんなんですね。読み始めると、ああこれは女性の筆だな、と納得が行きました。逆に言うと、これを男性が書いていたら、ちょっと背筋が寒くなるものを感じてしまいます。

肝心の内容ですが、登場する女性キャラクターの「女性性」がいちいち針のように刺さってきて、読了後は心臓が細かな穴だらけになったような気分でした。ラストの主人公のモノローグを見るに意図的なものだと思うけど、主役の女性の一人称が「あたし」であることにずーっと引っかかってしまった。女と書いて「あたし」と読ませるセンスについていけないものを感じます。

全体的にはスピード感のある展開でよかったです。文体に気負いを感じさせないところもいいと思う。ただ、読み始め、心情描写があまりに自由でびびってしまいましたが。